【ブラックジャックを探せ】訪問診療で大学病院並み医療を提供したい!

12-01-06 17:30 配信

★「えびす英クリニック」(東京都渋谷区)院長 松尾英男さん(44)
現在の医療提供体制の中に「在宅医療」「訪問診療」という分野がある。寝たきりなどのため外来通院が困難な患者のため、医師が患者の自宅を訪れて診察を行うもので、高齢社会の進展を背景にそのニーズは高まっている。
JR恵比寿駅からほど近い住宅街にある「えびす英(ひで)クリニック」は、訪問診療専門の医療機関。院長の松尾英男医師は医学部を卒業後、消化器内科医として大学病院などに勤務していたが、「患者の目線で応じられる医療を提供したい」と考え、都内の訪問診療専門クリニックでの修業を経て開業した。
「大学病院でやっていることは医学としては間違いではない。でも、医学的に正しいことがすべて患者に受け入れられるかといえば、必ずしもそうとは限らない。そんなことを考え悩む中で、この分野に興味を持つようになったんです」
現在受け持つ在宅患者は110人ほど。渋谷、目黒、港、世田谷などのエリアを巡り、1日の訪問先は平均16軒に及ぶ。急変時は深夜でも駆け付ける、気の抜けない毎日だ。
「今も鹿児島で開業医を続ける父の姿を見て育ったので、医者という職業はそういうものだと思い込んでいる部分はあるんでしょうね。とはいえ、大変ですよ(笑)」
病院でも診療所でもない、「患者の自宅」という限られた医療環境で、大学病院並みの医療を提供したい-と考え、在宅医療に熱心な開業医に呼びかけた勉強会を開催するなど向上心はやまない。その診療を待つ患者にとって松尾医師の存在は“命と心の拠り所”なのだ。 (長田昭二)
■まつお・ひでお 1967年鹿児島市生まれ。94年杏林大学医学部卒業。関東中央病院、杏林大学附属病院を経て2001年より現職。

「夕刊フジ/ZAKZAK」